ポルシェ・カレラGT

ポルシェ・カレラGT, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=271688 / CC BY SA 3.0

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ポルシェ・カレラGT

カレラGT(”Carrera GT” )は、ポルシェのスーパーカーである。製品コードは980。
20世紀末期から21世紀にかけてのスーパーカーのメインストリームである大排気量にしてハイパワーなマルチシリンダーエンジン、オールカーボンファイバーで成型したボディまたはシャシー、レーシングカーに準じたエンジニアリング、それに相反するラグジュアリーな快適性能などに乗って製作された。2003年発売。

しかしその源流は、ル・マン24時間レースなどの耐久レースの主役がメルセデス・ベンツ・CLK‐GTRや日産・R390などのGTクラスからプロトタイプカークラスへ移行したことに端を発している。ポルシェもそうした波に翻弄された当事者の一つで、カレラGT開発の根幹には、次期GTクラスレーシングカーとして開発されていたものを期せずして転用できる機会に恵まれたことで計画が加速したことが挙げられる。

ポール・ウォーカーが事故死した車でもあるが、ポール・ウォーカーの家族は車の安全性に問題があったとポルシェを訴えている。これに対してポルシェ側は死亡したのは危険な走行によるものと反論している(事故時に現場の制限速度の倍以上の速度を出していたことが検証で明らかになっている)。一方で中谷明彦によると、カレラGTは運転が難しくコントロールの自由度が低い車であるとされている。黒澤元治もスペックに期待してカレラGTを予約購入したが、乗ってすぐに売り払っている。

2019年、米国のコレクターの依頼により、ポルシェのクラシックモデル部門「ポルシェ・クラシック」がフルレストアした車両が完成したことが発表されており、オーバーホールやパーツ類の交換、修繕以外にも、ボディカラーが発売当時のカレラGTに設定されていなかった「オークグリーンメタリック」に変更されるなど、レストアだけでなく同時にカスタマイズも行われている。

カレラGTのボディ構造は、1990年代にデビューしたマクラーレン・F1や、メルセデス・ベンツ・SLRマクラーレンのようなモノコック構造ではなく、キャビンであるカーボンファイバー製のタブに、エンジンやサスペンションを支持する籠状のサブフレームを連結する、一味違ったアプローチによるエンジニアリングが展開されている。特にサブフレームは上下2ピースでエンジンを包み込むようにしてマウントし、エンジンを降ろしての整備を可能とするため上のピースはボルトを外すことで簡単に外れる構造になっている。

ボディパネルも全てカーボンファイバー製で、外部からの応力は全てシャシーで受け止めるよう設計されているため、これらのパネルは特に剛性の高いものではないが、前述の構造であるからこそ屋根を取り外すことのできるタルガトップスタイルを実現できたとも言える。シャシーの構造物の一部を除きオールカーボンにしていることは大きく、大排気量エンジンを背負いながら車両重量は1,380kgである。

サスペンションは純レーシングカーの構造で、前後ともダブルウィッシュボーン式で、インボードにマウントされたショックアブソーバーとサスペンションアームとはプッシュロッドで繋がっている。

ブレーキもポルシェの最先端技術が投入され、高剛性のモノブロックキャリパーにPCCB(ポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキ)と称するカーボンセラミック複合素材のディスクが組合わされている。このディスク素材はレーシングカーにも使用されており、18kgとスチール製に比べて圧倒的に軽量である。耐熱性も非常に高く、高い耐久性を持っている。

エンジンはドライサンプ方式により潤滑され、V型10気筒、ボアφ98mm×ストローク76mmで5,733cc、圧縮比12.0で612PS/8,000rpm、60.2kgm/5,750rpm。これだけの性能を持ちながらエンジン単体重量は200kg弱に留めている。レイアウトの自由度を高めるため、バンク角は本来V型10気筒エンジンの等間隔燃焼の理想と言われる72°でなく68°に設定している。

トランスミッションは6速MT。φ169mmと超小径のクラッチは、ブレーキと同様のカーボンセラミック複合素材を使用したPCCC(ポルシェ・セラミックコンポジット・クラッチ)で、慣性重量の低さと多板クラッチ特有の唐突に繋がる特性があいまって、非常に扱いづらいといわれている。対抗馬であるフェラーリ・エンツォフェラーリがセミATによるシフト機構で、クラッチペダルの存在を消すことでドライ…

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